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第36回・東京国際映画祭 試写作品



 2023年10月23日から11月1日まで、日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区の会場で開催された「第37回 東京国際映画祭」。昨年同様にオープニングのレッドカーペットを日比谷仲通りにて開催予定。今年は、総勢約600人以上の海外ゲストが招へいされ、コロナ禍では積極的に実施が行えなかった「交流ラウンジ」などの映画人の交流の場を充実させ、世界中の映画人とファンとの交流が活性化していく年となった。その中から今回試写鑑賞したものをご紹介します。



コンペティション部門

「ペルシアン・バージョン」アメリカ映画



1970年代にイランからアメリカに移住し、イスラム革命のために帰国できなくなったイラン人一家の母と娘の物語。イスラム革命とか聞くと緊張状態という事が頭に浮かぶので、ちょっと重たくて暗めの映画なのかと思いきや、全く違います。父の病気や、母と娘のギクシャクした感じとかがベースにはあるのですが、全体を通してテンポが良くリズミカル、服や建物や食べ物などカラフルでキレイ、端々にアメリカらしいジョークが効いていてほんとコミカルなので、初めからずーっと笑ってました。そんな中、ラストでは涙がホロリと感動のシーンもあり、私の中ではここ最近の中でイチオシの映画でした。



アジアの未来部門

「マディーナ」カザフスタン映画



主人公マディーナは、昼はダンス講師、夜はショーパブのダンサーとして働きながら、幼い子供を育てているシングルマザー。心に問題を抱えた弟と、年老いた祖母の4人で慎ましく暮らしている。ある日、弟から衝撃的な告白を聞くことになり、物語は大きなうねりに飲み込まれていく。

全体の流れとして、苛立ちや悲しみといった主人公の感情や、子供とのかけがえのない大切な時間などが、言葉ではなく海の波やプールの水による大小の揺らぎによって表現されており、静かに淡々と進むのだがとても情熱的で情緒的な作品でした。



Nippon Cinema Now部門

「彼方のうた」日本映画



25歳の書店員・春は、ベンチに座っていた悲しそうな中年女性の雪子が放っていけず、道を尋ねるふりをして声をかける。その一方で、中年男性の剛を尾行しながらその様子を確かめる日々を過ごしていた。そんな春の行動に気づいた剛が彼女の職場に現れ、また春自身が再び雪子に声をかけたことで、それぞれの関係が動きはじめる。春は2人と過ごす中で、自分自身の母親への思い、悲しみの気持ちと向き合っていく。

第32回マルセイユ国際映画祭グランプリなど、各国の映画祭で評価を得た「春原さんのうた」の杉田協士の長編第4作で、デビュー作「ひとつの歌」以来12年ぶりとなるオリジナル作品。出演は「PLASTIC」の小川あん、「エゴイスト」の中村優子、「ある男」の眞島秀和。



ワールド・フォーカス部門

「魔術」チリ映画



サンダンス国際映画祭上映作品

1880年のチリ、ドイツ人入植者に父親を惨殺された13歳のインディアの少女は、町の有力者である町長や教会に助けを求めるもなんの進展もなく途方に暮れていた。そんな時、村の外れに住む先住民の男と出会い、祈祷師に助けを求めることに。犬が関係することから、そのドイツ人の子供を魔術で犬に変身させたことが発端となり、入植者による先住民狩が始まる。

19〜20世紀の入植者と先住民との関係性は、自分が考えていたものよりもはるかに差別的で、そんな時代に13歳というまだ子供の主人公が、父親の死を通して世の中の秩序やどうしようもないことわりなどを体験しながらやがて大人になっていく姿が印象的でした。



アジアの未来部門

「マリア」イラン映画



結婚式の当日、会場に向かう花婿の車の上に突然降ってきた女性。彼女は重傷を負いICUへ。彼女は、花婿とともに映画を作っていた女優の「マリア」で、ある映像がネット上に流出したことがきっかけで2年間も失踪していた。これは事故なのか自殺なのか?

と、こんな感じでスタートするのですが、この物語には謎が多く宗教観などもありとても複雑に絡み合っていきます。事件以降は淡々と進んでいきますが、中盤から徐々に謎が解けていき、もうハラハラドキドキであっという間でした。



アジアの未来部門

「違う惑星の変な恋人」日本映画



個性的な男女4人+女1人の、好きな相手を求めてぐるぐる回る厄介な恋愛ゲームのお話。サッカーワールドカップの裏で皆の想いが渦巻き、それぞれの恋愛に対する理想や価値観を超えて歯車は噛み合うのか。。

1対1のストーリーがバトンタッチのようにテンポ良く進み、次々と展開する。見ていて飽きる暇もなく、とっても楽しめる作品でした。



コンペティション部門

「曖昧な楽園」日本映画



交通量調査員として働く達也は、身体が不自由になってきた母と2人暮らし。母の日常的な介護をしながら仕事や生活のどこにも居場所を見いだせずにいる。。一方、顔見知りでほとんど動くことができない独居老人の部屋へ毎日のように通いその老人の世話をしている青年クラゲは、ある日、幼なじみの雨と2人で老人を連れてバンで旅に出る。。孤独を抱えた人々のあてどない旅を描いたロードムービー。

生と死をめぐる、決して交わることのない2つの物語を、SF映画のような雰囲気を纏わせることで絶妙に絡ませていく、小辻陽平監督の長編デビュー作。


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